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December 09 インフォコモンズ 佐々木俊尚著 講談社~グーグルとSNSの次に世界を制するものは何か?~ 最近はじまった佐々木氏のメールマガジンを購読し、氏の最新情報を読み始めているところです。7月に発売されたこの本、とても面白かったです。「フラット革命」の続編ということでしたが、なるほど、asomeの知りたいインターネット上のこの先のイメージを大変興味深く描いてくださいました。10年前のインターネットの状況を考えると現在は、一般人の私からすると、ものすごい進化と感じるのですが、実はそれほど進化しているわけではなく、利用している人達のすそ野が圧倒的に広がり、社会そのもの、構造が変ってきたということなのでしょう。今だよく捉えられないweb3.0の概念もおぼろげながら見えてきました。受動→能動そして受動(web1.0→web2.0→web3.0)という流れは、同じ受動(プル)であっても、もう同じ受動(プル)ではないわけです。能動(プッシュ)を経験し、ひとまわり成長した受動(プル)をどのように実現するかが課題なのですね。 「情報と人間の関係性の可視化、システム化が新しい関係性の萌芽になり、新しい社会システムを生み出す可能性を秘めている。」というくだりはとてもわくわくします。 私たち一人一人が「自分自身の情報の再集約を自分の責任として行い自己情報のセルフコントロールを確立していく」ことが重要なんですね。 インターネットの3年先5年先、ましてや10年先を想像することはなかなか至難の業です。しかし、人間の可能性を早急に飛躍させていかなければならないほど、現在の世界の限界点が浮上してきている今、私たちはみんなで新しい仕組みを作っていかなければならないのだと感じます。とても勉強になり考えるヒントになってくれた本です。ありがとうございます。 December 01 勝間和代のインディペンデントな生き方実践ガイド 勝間和代著 ディスカバー携書経済評論家であり、公認会計士の勝間和代さんは最近ではベストセラーを何冊か書かれ、大変活躍されている女性となりましたが、その勝間さん一番初めの記念すべき一冊を出版し直した本だそうです。しかし、この本の中にかなりのエッセンスが盛り込まれており、とてもよくまとまっている本だと感じました。「インディペンデント」すなわち「自立」を意味するインディな生き方とは 1年収600万円以上稼ぎ 2いいパートナーがいて(1000万円以上稼ぐ) 3年をとるほど素敵になっていく ということなのです。とにかくこの3つに尽きるというのですね。 なるほど、これは一つの大変具体的な目標となりますね。インディの反対はウェンディ、 自立せずに回りにゆだねた生き方をする女性を指します。そして、三毒追放!(怒らない、妬まない、愚痴らない)なんだ、よくあるノウハウ本かと馬鹿にすることなかれ。仕事ができる、成果をあげる人たちに共通の何かがこの本には満載です。インディな女性とは、この法則を確かに知っている女性たちなのです。そして知っているだけではなく実践している女性は、この3つの条件をやすやすとクリアーできているということなのでしょう。この法則を体得することがとても重要なことなのでしょうね。私はこの本を読んで、大変納得できました。この本を読んで、素直に実行できる人、その人はきっと法則が解る人なのでしょう。この本を読んですぐに、私は勝間さんのスケジュール表に出会いました。ちょっと高かったですが、丁度来年の手帳を買わなければと考えていたところでしたので、グットタイミングでした。ひとまずこの手帳を利用しながら実践していきたいと考えています。 November 25 イカの哲学 中沢新一・波多野一郎著 集英社新書本屋さんでずっとこの本のタイトルが気になっていたにもかかわらず、何故か買おうとしませんでした。ふとしたことでamazonのレビューを読み、読んでみようと思い立ちました。この本は波多野一郎さんという、哲学者が若いときに出版した本で、中沢新一さんは学生時代にこの本を読んでいたそうです。他の本を書いていたときに、このイカの哲学のことを記憶の深層から思い出し、この本の内容や思想が今の時代に必要だと直感し、この本をもう一度世に出そうという気持ちになったということなのです。波多野一郎氏の「イカの哲学」は大変易しくわかりやすい文章です。まるで童話のようなお話なのですが、大変深い、そして素晴らしい内容なのです。 後半は「イカの哲学」をめぐっての中沢さんのお話となっており、「イカの哲学」の短い文章に込められた秘密を充分に語ってくれます。 私が一番印象的だったのは、「・・・芸術と宗教が発生した。そして戦争もそのとき、まぎれもない人類の徴として発生した」というところです。戦争がまぎれも無く、他の動物とは異なる人間性のひとつであることを認め、そこから平和を考えていかなければならないという事実はとても衝撃的であり、しかしとても納得のいくところです。 特攻隊として志願したにもかかわらず生き残り、シベリア抑留を経て、戦争と平和について生命の深みで考えた思想は、原爆投下という超戦争を経験した日本人に必要な、そしてまた世界に必要な思想であるということなのです。 大変深く、そして私たちの未来に必要な思想・・・ぜひお読みになってみてください。 November 20 脳を生かす仕事術 「わかる」を「できる」に変える 茂木健一郎著 PHP研究所茂木先生のとても面白い仕事術、軽くてすぐに読めますが、とても楽しくためになる本でした。「いいこと」は解るのに、「実現できない」という、だれにでも覚えのある現象について、非常に解りやすく、ワクワクしてくるように様々お話してくれます。茂木先生の体験からほんとうに手取り足取り教えてくれる感じなのです。「感覚的学習の回路」と「運動系学習の回路」のバランスの問題、非常に納得ができます。脳の働き脳の可能性がよくわかる茂木先生ならではのお話はとても具体的で納得できます。仕事のノウハウの本は、私もあまり読まないのですが、今回この本を読むことによって、自分がしてきたこと、無意識にやってきたことが、なるほどこういうことだったんだと解りました。ベストセラーになっているもう一冊「脳を活かす勉強法」も読んでみたくなりました。「脳は、生命を輝かすためにある!」と、とてもポジティブ。根底にある茂木先生の生き方がとても共感がもてるんですね。だからお話もすっと入ってきます。たのしいですね。ぜひ皆さんも読んでみてください。58のポイントですが、必ず明日から元気に生きるヒントをもらえますよ! October 31 私という病 中村うさぎ著 新潮文庫中村うさぎさんのデリヘル体験記から始まるこの本、大変面白い本でした。まぎれもなくフェミニズムに属する話とご本人がおっしゃる通り、この男社会の中で女として生きるということの本質を本気と本音で描き出してくれます。久々に骨太の女性の文章と感じました。自分に正直に生きている女性だったら、誰しも共感する、「女としての苦悩」を怜悧な分析と文章で見せてくれます。大変納得でき、自分の中にある気持ちも整理できる非常に面白い内容でした。ショッピングの女王としか知らなかったことに、私自身のキャッチの感覚に愕然としました。世間で取りざたされることとに惑わされてはいけませんね。特に女性についての評価というのは、あてにならないものが多いと感じます。一般社会はまだまだ男性中心のものの見方で評価されることが多いような気がします。 女性のみなさん、ぜひ、この本を読んでみてください。風俗の世界で行われていること、その世界での営みを冷静な目で見つめる中村うさぎさんのおっしゃることは非常に納得できるのです。たぶんそうであろうとリアルに自分の感覚としてわかります。 女性のみなさん、ぜひお読みください。きっと自分自身の闇の部分を理解できると思います。かなりお勧めの一冊です。 October 14 ボストン美術館 浮世絵名品展 江戸東京博物館~色あざやかなり 江戸の夢~ ボストン美術館とういと、浮世絵が沢山あることで有名ですが、その5万点ほどあるコレクションはかなりの数、公開されていないようですね。今回も、日本初公開となる作品が多いそうです。浮世絵や版画は日本よりも海外に素晴らしいコレクションが多くありますね。連休の3日目、かなりの人でした。前回、中国の有名な書の展示会よりも、もっと人手がありました。鈴木春信、歌麿、写楽、北斎、広重と有名どころが並び、日本の浮世絵の美しさを堪能しました。江戸のアートは、見る度に体がしゃきっとして、隅々まで感覚が満たされ、とても気持ちがすっきりしてきます。自分は日本人なんだなと自覚します。浮世絵や蒔絵をみると心も体も癒されるのです。 今回、額に入ってるものが多かったです。以前のボストンのコレクションは、確か掛け軸が多くありました。肉筆画だったからなのでしょうね。この掛け軸がとても美しく、それも楽しみだったのですが、版画が多いので、掛け軸は少しでした。でもその掛け軸、更紗の斬新な柄でとても美しかったです。 しかし、なんて浮世絵は自由で楽しいのでしょう。「歌丸の音曲恋の操 おこま 才三郎」はとても斬新な構図の浮世絵です。映画の一幕をみているようで、とても楽しくなります。春信「源氏窓に若い男女」もドラマチック。思わず絵葉書も手に入れてしまいました。 また歌麿の作品で珍しく、美人画ではなく貝殻を描いているものがありました。とても美人の貝?で、こんなに色っぽい貝はみたことがありませんでした。さすがに歌麿です・・。 この浮世絵、11月30日まで江戸東京博物館でやっています。ぜひ、みなさん、ごらんになってみてください。 September 30 ケータイ小説あしたの虹 ぱーぷる(瀬戸内寂聴)著 毎日出版社ケータイ小説に果敢に挑戦した瀬戸内寂聴さんのあしたの虹をケータイで読みました。本を買ってないので書評になるのかはわかりませんが、86歳のお年でよくケータイ小説の特徴をつかみ、内容から、文体から研究され素晴らしいです。ケータイ小説のトレンドを踏み外さず、しかも内容は、ばっちり瀬戸内さんの小説です。瀬戸内さんの茶目っ気と、新しいものへの挑戦、そして本質をつかむ感覚はお見事としかいえません。第3回のケータイ小説大賞の審査員長ということで、源氏千年をテーマとしているので、そういった背景がわかるとなるほどと思います。ぱーぷるというニックネームも思わず微笑んでしまいます。しかも男性の主人公は「ヒカル」です。 この作品、ケータイで読むと、他のケータイ小説に混じってもまったく違和感はありません。しかし、やはりさすがにうまいです。ケータイ小説版の源氏物語とでもいうのでしょうか。子供たちはこれをどんな感覚でうけとめるのでしょうか。きっと共感をもって読むのではないかと思います。 こうして、小説家である瀬戸内さんが書いているケータイ小説を読んでみると、今までに描かれたケータイ小説の元となる男と女の織り成す物語と、源氏物語のような昔から日本の女性たちがつづってきた物語は、それほど大きな隔たりがないように感じました。 女性たちの共通する思いや気持ちは、昔から変っていないのです。 現在ケータイ小説への様々な批評が書かれていますが、それのどれもが、なにか違うように感じていました。また、瀬戸内さんのように実際に挑戦してみるという作家は今までほとんどいませんでした。それだけ大御所瀬戸内さんは吹っ切れているのかもしれませんし、なにより、瀬戸内さん自体がデビューした当時に文壇から散々干されたという経験もされているので、他の方々より自由な感覚をお持ちなのかもしれません。瀬戸内さんのケータイ小説デビューは、asomeとしては、非常に愉快な出来事です。瀬戸内さんに続き、たとえば姫野カオルコさんとか、いろいろな方のケータイ小説が出てくると面白いのになと思います。何より、子供たちがそういった大先輩の方々のケータイ小説を読んで、小説を書く力がより向上するといいなと思います。 同時に魔法のiらんどでは「恋空」の美嘉さんの新作の連載が始まりました。こちらもなかなか面白いです。皆さんも、頭から毛嫌いしないで、ぜひケータイ小説をお読みになってみるといいですよ。 September 09 狩猟と編み籠 対称性人類学2 中沢新一著 講談社芸術人類学叢書の創刊第一回配本の「狩猟と編み籠」カイエソバージュが大変面白かった記憶は鮮明で、珍しく本屋さんで見かけすぐに購入しました。映画と宗教は同じ仕組みであると・・その仕組みを読み解きながら、「心の野生」の探求が始まります。とてもスリリングで興味深い内容です。また、洞窟とテラス、映画とテレビを比較して書かれていますが、私は今のインターネットを中沢さんはどのように考えていかれるのかがとても興味深いです。ぜひこの対称性人類学を進めていっていただきたいと思いました。インターネットの考古学を知りたいですね。 古代人はどのように感じ表現していたのか、読み解いていくのは現代人の我々にとってはとても大変なことなのかもしれません。しかし表現という行為においてその表現の源は同じなのではないかと考えるととてもワクワクします。「イメージと精神」のつながりはとても深いテーマであり、人間の根源的なテーマなのでしょう。 この中で紹介されている映画の中で「ベイヴ」が出てきます。この章の内容もとても興味深かったです。家畜化ということから深く掘り下げ、神話の世界まで話が広がります。様々興味深いところはありますが、ぜひともこの本、お読みになってみてください。 August 30 古代から来た未来人 折口信夫 中沢新一著 ちくまプリマー新書タイトルにとても惹かれて読んでみようと思いました。中沢新一さんの今年になってからの初めての本です。折口信夫さんの学問をこよなく愛している中沢新一さんが、とても読みやすくまとめてくれました。写真を見る限りでも、大変ナーバスな印象の折口信夫さんは、「古代人の心」「古代人の思想」を感じ、探求した思想家であり「古代人」のなかに普遍的な「人類の思考の本性」を見出そうとしていたといいます。 また、折口信夫さんの言葉自体が大変闊達で美しい日本語だったということなのです。 中沢新一さんはいつも折口信夫さんの本を鞄にいれて持ち歩いていたといいます。 ぜひ一度、わたしも折口信夫さんの本を読んでみたいと思います。 「柳田国男と折口信夫はフロイトとユングの関係のような間柄」だったとありましたが、そういわれてみると理解が広がります。 すぐに手軽に読めてしまう新書ですが、とても魅力的な内容です。 みなさまもどうぞ手にしてみてください August 16 ブルー・オーシャン戦略 W・チャン・キム+レネ・モボルニュ著~競争のない世界を創造する~ ランダムハウス講談社 戦略論の新スタンダードと帯に書いてありますがとても面白い内容でした。ブルー・オーシャンとは、血みどろの戦いが繰り広げられる市場から抜け出し誰も競争相手のいないまるで新しい青い海原のような市場を示しています。 世界のいくつかの事例をもとに進められますが、どのケースもとてもわかりやすく、なるほどと納得しました。 日本の企業ではNTTドコモのiモードと1000円カットのQBハウスの例が挙げられていました。競争の激しい既存のマーケットで戦うより、競争が意味を持たない未開拓の市場を作り出す方法。今までのブルー・オーシャンを作り出した企業は、もしかしたら、それぞれは偶然が生んだ産物だったのかもしれませんが、この本ではその事例を検証し、ブルー・オーシャンを生み出す方策を体系化しているので、非常に読む価値があるのです。なぜならブルー・オーシャンを見つけて新しい市場を悠々と歩き出す、トップを走る企業にすぐに二番手の企業は追いついてくるからです。ひとたびブルー・オーシャンを見つけたら、他が追随できない工夫が必要なのでしょうね。 NTTドコモのiモードはすでにケータイインタネットの市場がブルーではなくレッド・オーシャンとなっていて、ドコモには非常に厳しいこのごろです。そろそろ発売されてから10年になりますからね。iモードを生み出した夏野さんが今年やめられましたが、大変象徴的だなと思います。そういった意味でも、きちっと体系化することで、常にブルー・オーシャンを作ることが出来る企業体質が確立されなければならないということなのでしょう。ちょうどこの本を読み終わった頃、シルクドソレイユの日本公演のポスターが目につきました。新しいサーカスという舞台を作り出し、世界的に成功している例です。サーカスという斜陽産業でそれを成し遂げたという非常にいい例であるシルクドソレイユの公演をぜひ見てみたいものだと思います。 偶然ではなく、ずっとブルー・オーシャンを作り続けることができる企業であることが、今後の大きな課題なのでしょう。 とても面白い価値のある本でした。皆様もどうぞお読みになってみてください。 July 18 第六回 喜正の会 「清経 恋の音取」 平成20年6月21日 国立能楽堂平重盛の三男である清経の霊が都に残した妻の夢枕に立つという能ならではの恋物語の舞台です。狂言は野村萬斎で、「吹取」。清経は笛の音が非常に重要な物語の進行役をするのですが、その笛にちなんだ狂言の出し物で、大変コミカルで面白い舞台でした。 この舞台で萬斎さんの吹く笛の音を始めて聞きましたが、役者さんはほんとうにいろいろと出来ないとならないのですね。そういえば能役者は、謡いも仕舞もこなし、脚本も書き、舞台演出もしました。世阿弥などは本当に今で言えば大変マルチな才能を持っていた方ですが、日本も昔から一人で何役でも出来るというのは当たり前だったのかもしれませんね。 狂言の笑いは、言葉が多少難しくても、人間共通の普遍的な笑いなんですね。今回は男と女のなんともいえない、機微が表現されています。 今回、この「清経」もとても素敵でした。清経が戦や病で亡くなったのではなく、自ら身を投げたということで先に死んでしまった夫に恨みを持つ妻と、形見の髪を家来に持たせたのに受けとらなかったと妻におまえこそひどいではないかと、せっかく夢で会えたにもかかわらず、うらみつらみを言い合う二人になぜか人間の哀れさを感じました。いつもこうして男女の気持ちはすれ違い、お互いがわかりあえないのは今も昔も同じなんだとなんだかおかしくなってしまいました。 男である清経は、恨み言を言い合っても始まらないと思ったのか、最後はかなり哲学的になり、なぜ身を投げるにいたったかを話して聞かせるのですが、途中でも妻は夫の自分勝手さに恨み言を続けるのです、しかし死後においても修羅道で敵に攻め続けられるこの身であって、これが因果なのだと清経は語り終えて静かに去っていくのです。なぜかこの物語り、男女のあり方の違いが見事に現れていてとても心に迫ってくるものがありました。 また、清経が登場するときには笛の音に導かれ現れてくるのですが、笛が止むとぴたっと動作が止み、笛が始まると動き出し、その場面は見せ場となっています。 清経は何故かとても色香が香りますね。今まで見た中で、一番ときめき、また考えさせられた能の舞台でした。 June 10 江戸糸あやつり人形 結城座 古典公演 竹本素京 追悼 2008年06月09日
May 06 本居宣長 小林秀雄著 新潮文庫読み終わるまでかなり長い間かかってしまいました。上下巻のうち下巻には補記と対談が入っています。まずはこの本文を読みおわりましたので、書いてみたいと思います。読み終わるまでに、小林秀雄さんの公演集のCD「本居宣長」と「本居宣長をめぐって」を手に入れました。本よりも、むしろ小林さんの肉声による講演をきいて理解できた部分が大半でした。それぞれ二枚組みですので、4枚となります。ケータイに取り入れてあるので、電車のなかで、ちょっと本を読むのに疲れたなというようなときにはこのCDを聞くようにしていました。独特の小林秀雄さんの語り口調は、なれるととても面白いのです。学生たちの質問に対しての答えは、大変充実していました。まずは宣長のことから始まり、紫色部、源氏物語の世界、そして、そこからさらにさかのぼり、古事記に向かう、探求の旅。 本居宣長が古人の心ばえを、古代の人になりきったように感じていくことで書き表していったその文章から、小林氏が感じ取っていくというプロセスの講義を受けているような月日でした。本居宣長の文の引用も多いので、読み込むのはとても大変ですが、小林氏自身が一度読んだだけでは分らないとおっしゃっていますので、まずは分らなくても一度目を読んでみました。源氏物語にしろ、古事記にしろ原文すら読んでいないので、生きているうちにはぜひ読んでみたいと思います。日本人の奥の深さ、歌の心、日本人の感性の源はいったいどこからくるんでしょう。歌の心に秘められている日本語の源を「本居宣長」を読んでいるとおぼろげながらつかめるような気がします。これからぜひとも深めていきたい世界です。またいつか読み返してみようと思います。何度でも挑戦したい本です。 皆様もぜひ挑戦してみてください。 April 29 隅田川 のうのう能 追加公演 矢来能楽堂能のお稽古を始めてそろそろ二年となります。舞台も十数回は観にいきました。 こうやって馴染んでいくと少しずつ能の世界が親しくなってくるようです。 矢来能楽堂の「のうのう能は」今回講義や対談が盛り込まれ、能の舞台だけではなく、多方面から全体的に理解が出来るので、とても楽しみにしています。今回は「物狂い」というテーマです。法政大学の山中玲子先生のお話はとても勉強になりました。「狂い」という言葉の意味合いが、昔と今ではずいぶん違う感覚なんですね。 今日は風姿花伝から解説がありました。憑き物の物狂いはいわゆるこの世の生き物ではなく神仏、生霊死霊の類を現し、古くからあったそうです。しかし、世阿弥は、思いゆえの物狂いという親子の別れ、恋人や妻や夫との別れ、このような思いに狂乱する物狂いの作品を作り、それを得意としたのですね。世阿弥の時代からこのような思いゆえの物狂いが演じられるようになったのです。今日の「隅田川」で、初めてお能の演目で泣く人に出会いました。いままで能の舞台は、一つのアートのように見てきたのですが、今日は心が動いている人たちが多かったです。 子供を亡くした母親の気持ち。舞台では子供に供養しようと母親がお経を上げ始めたときに、何処からともなく子方のお経を上げる声が聞こえます。そして幽霊となって現れる子方の姿と、その子方を追って抱きしめようとする母。この演出はかなりショッキングでした。 単純と言えば単純なのですが、情感がゆすぶられ、泣ける演出に感動しました。 なるほど、物狂いは、人の心の原点のようなところがあり、誰にも分りやすく、そして誰もが感動するものなのですね。これが長く続く物語の魅力なんですね。この作品は世阿弥の息子の元雅の作品です。父親である世阿弥の花のある幽玄の世界と趣が異なり、弱法師やこの墨田川のように、親子の深い情など人生の悲しみを表現する人だったようです。 能の世界は日本人の「もののあわれ」の感覚をよく表現する芸術だと感じますが、この世界にふれると、日本人としての感覚がすこしずつ蘇ってくるようです。 April 01 お金は銀行に預けるな ~金融リテラシーの基本と実践~ 勝間和代著 光文社新書外資系会社のコンサルタントとして、資産運用のプロとして、非常に分りやすく、しかも納得できる資産運用の勧めをしてくれる良い本だと思います。今まで、多くの金融や投資の本を読んできたのですが、この本の内容は非常に現実的に納得いく内容だと思いました。 ライフワークバランスという視点から、仕事、生活、お金、をきちっと捉え、資本主義の経済世界で生きている私たちがどのように選択しより良い生き方が出来るのかということが、この本を読んでいくと見えてくるのです。何より、ご本人が一流の生活者であり、ワーキングマザーであることがとても大きいですね。3人のお母さんである勝間さんですが、お写真を拝見する限りではママさんというような印象より、バリバリのキャリアウーマンという印象です。とても生き生きと仕事をされている様子が、前回の「効率が10倍アップする 新・知的生産術」からも想像がつきました。今回は勝間さんの専門分野のお話で、私は「お金を銀行に預けるな」の内容のほうが、目から鱗でとても面白かったです。この本を読んで、初めて今まで読んできた投資やお金の本に書かれている内容がぐっとこなれて入ってきた印象です。それはきっとお金のリテラシーとは何ぞやということが、この本でよく理解できたと思うのです。要するに、今までの本には書いていなかったことが、きっと書いてあったのですね。それが、何処というふうには書くことはできないのですが、全部読んでみたら、「さあ、投資信託の口座を開こう」と素直に思えたのです。これはかなり画期的なことだと思います。皆様も、ぜひお読みになってみてください。 March 25 効率が10倍アップする 新・知的生産術 勝間和代著 ~自分をグーグルする方法~現在のマルチな才能ある女性のなかで注目の大型新人というところなのでしょうか。 著者は勝間和代さんです。徹底した自己管理、目標に向かってばりばりとIT関連のツールを使いこなし、仕事をてきぱきとこなして生きてきた、たくましい女性です。3人のお子さんのお母さんであり、子育てと仕事の間に月間100冊以上の本を読み、自転車で通勤するというスーパーウーマンですね。結構厚い本ですが、意外と読みやすく、すぐに読めてしまいます。働く女性たちは必見ですね。 情報のインプットをするには、アウトプットが重要であるということ、わかりやすく人に伝えるためのノウハウ、どのようにしたら人に考えていることをそのまま伝えられるのかと訓練してきた人ならではの本のまとめ方となっています。 本質を見つけること、そして、無駄をなくすには捨てること、そういった有効な毎日の仕事での秘訣がたっぷりと盛り込まれています。このようなスーパーウーマンであっても、肩に力がはいっておらず、スーと受け入れられる文章に好感がもてます。 BOOKレビューが付いているのも大変お得です! 特にメールやインターネットの利用の仕方、ブログなどの情報発信の仕方など、最新のインターネットを使いこなした勝間さんならではの情報が満載です。 巻頭の使いこなしているグッズを眺めて、自分のグッズと比べてみるのも刺激になります。 勝間さんの専門分野、「お金は銀行に預けるな」も思わず買ってしまいました。 ぜひ、皆様もご参考にしてみてください。 March 21 ろうそく能「安達ケ原」 ~何故女は鬼になったのか~ NAKANO-ZERO NOH3月16日中野ゼロホールにて行われたろうそく能 「安達ケ原」を鑑賞しました。 年に一回の公演ですが、とても多くの人が来ていて、なんとチケットは完売となったそうです。日曜日のお昼というとてもよい日時なのですが、それにしても、中野ゼロホールの大ホールですので、素晴らしい入りだと思います。 仕舞が「あおいの上」「山姥」能は「安達ケ原」です。 物語は、鬼や生霊となった女が主役。舞台には壮絶な女たちの姿が次々と現れます。 特にろうそく能は、薄暗い自然の炎の灯りが、とても美しく、火入れからはじまるのですが、その儀式もとても魅力的です。その自然の炎のゆらめきの中に、女性の鬼の姿がある意味美しく描き出されます。 いつも思うのですが、前半の人間の女性の姿から鬼になったときの迫力、この世のものと思えない鬼の姿をその動きで現すとき、舞台の空間がグーッと濃密になります。 日本の場合、鬼は神にも通じるわけで、海外の悪魔とはニュアンスがかなり違います。「みちのくの安達ケ原の黒塚に鬼こもれりといふはまことか」という平兼盛 の歌があるそうです。この意味合いは、安達ケ原には、ちょっと危険で妖しい大変にいい女がいるそうだというような、そんなニュアンスだそうです。 日本の美しい魅力的な鬼たち、皆様ぜひ一度、会いに行って見てください。 March 18 21世紀の国富論 原丈人著 平凡社国際舞台で活躍されるベンチャーキャピタリスト原丈人さん。確か初めてお名前を知ったのは、貨幣論の岩田克人先生の本でした。対談をされており、そのときに「人間の究極の欲望は完璧なコミュニケーションだ」とおっしゃっていた言葉が非常に印象に残っていました。 ベンチャーキャピタリストというと、日常であまりなじみがなく、何をしている人なのだろうと思ってしまうのですが、やはり、一言ではなかなか語れない、カテゴリーに属さない方という印象です。会社の経営のことからはじまり、IT世界が今後どのような方向に向かうか、本当の意味での技術革命を起こしていこうとされているのだなと感じました。原さんの二十一世紀へのビジョンは多くのITにかかわる仕事をしている人々に知っていただきたいです。このように、日本のこと、そして世界のことを考えて世界を舞台に活躍していらっしゃる方がいると思うと、希望と勇気がわいてきます。ぜひ皆様もお読みになってみてください。大変面白いです。 February 19 「朱蒙(チュモン)」韓国ドラマ「朱蒙(チュモン)」を見終えました。2006年韓国で放映され、一大旋風を巻き起こしたドラマです。全81話の歴史大長編。とにかく、おもしろかったのです!一話見終わると、はやく、次の回が見たいという逸る気持ちのため、81話という長編もあっという間に見終わってしまいました。 朱蒙といえば、高句麗の初代王東明王のことですね。 高句麗は、紀元前1世紀から約800年間、東アジアで栄えた大強国。最盛期は西のローマ帝国、東の高句麗と比肩されたほどです。「天の理想を地に実現する」ために建国された国という言い伝えがあります。高句麗の王は代々シャーマンで天の意がわかり、民の気持ちがわかり、民が一人でも不幸であれば自ら王座を降りるとされました。とても、高邁で崇高な精神をもった民族で、日本の文化にも影響を与えたとされています。 その耀かしい歴史故、彼らが民族の誇りとする高句麗建国の父、朱蒙を描いたドラマ「朱蒙(チュモン)」。最高視聴率52%という驚異的記録を出し、多くの韓国人が熱狂したということですが、頷けます。 このドラマでのストーリーは扶余の王でチュモンの義父クムワ(金蛙)と母ユファ(柳花)に甘やかされて育ったダメダメ王子の朱蒙(チュモン)が、人間的に成長して、高句麗を建国するまでの過程が感動的に描かれています。 最初は軟派で軟弱な「ドラ息子」ですが、朱蒙の実の父であり、多勿軍の英雄ヘモス(解慕漱)将軍との出会いから、見事に武芸の達人になっていき、どんどん真の英雄に成っていく様は本当に見ごたえがあります。 様々な困難が朱蒙に襲いかかってきますが、「天が自分に何かを気づかせるために与えた試練」だと、暗闇の中でも、常に先を切り開いていきます。 そして、朱蒙を取り囲む女性達の存在は見逃せません。朱蒙が愛した3人の女性達は素敵に描かれています。朱蒙の生母ユファ(柳花)、朱蒙の正妻のイェソヤ(禮素雅/礼少椰)そして、朝鮮民族史上初の女王とされるソソノ(召西奴)。 3人とも、朱蒙が大業を成すために、己の私心を捨て去り、常に朱蒙を影から支えています。 その中でも、ソソノ(召西奴)は、大商団率いる才媛であり、朱蒙の同志として、運命を共にします。ソソノは、今まで自分が造りあげた全てを手放して、何も無い状態から最初から造りあげていくという、強くしなやかで、アッパレな女性です。私心を捨て、先を見据え、己にとって、最も過酷で、最善の選択肢を自分に課し、そして、その試練を乗り越えていくのです。 そして、そのソソノの胸中を察する朱蒙の選択は・・・。ソソノも朱蒙も流石というよりほかありません。 最終回は涙無くして見られません! チュモン(朱蒙) / ソン・イルグク ソソノ(召西奴) / ハン・ヘジン テソ(帯素) / キム・スンス ユファ(柳花)[チュモンの母] / オ・ヨンス クムワ(金蛙) / チョン・グァンリョル ヘモス(解慕漱) / ホ・ジュノ <スタッフ> 脚本 :チェ・ワンギュ「オールイン 運命の愛」、チョン・ヒョンス「チェオクの剣」演出 :イ・ジュファン、キム・グンホン February 09 新作能 麦溜(ばくりゅう)~モルトウィスキー物語~ 神遊 国立能楽堂2月の3日、大雪の中新作能を観にいきました。 世阿弥は、能を演じ、そして常に新しい謡を書きました。今で言えば、とてもマルチな人だったのですね。ちょっと考えてみても大変な才能の持ち主だと思います。しかもとても美貌だったわけで、そんな男に会ってみたいですよね。でも昔の人たちは、自ら能を作り、そして謡い、舞ったのです。なんでもできる全人格的なトータルな人間だったのですね。 現代の人たちは分業することで、専門的な能力を発揮するようになっていますが、トータル的には、実は能力を全開していないのかもしれませんね。 この日はお酒にちなんだ能と狂言、しかも新作能を見る楽しみがありました。 この新作能は「麦溜」というタイトルで、ウィスキーの神様が登場するお話です。この世のものではない鬼人や神を演じるとき、本当に能の舞台と空間は、別世界へと変ります。人間を超えた存在を演じる能という芸術は、とても面白いですね。能の醍醐味なんですね。 シンプルで能らしく、また、そこに登場する神の姿は、やはりこの世のものとは思えない、 非常に高貴な姿なのです。 外は吹雪、私は2度も転びながら会場に向かったのですが、暖かな舞台は、まるで別空間のようで、記念に振舞われたモルトウィスキーがさらに体に柔らかく暖かく巡り、とてもよい気持ちでその異空間を楽しみました。 能の楽しみは、これは舞ってみたり謡ってみたりしないとなかなか分りにくいものなのかもしれませんが、とても深くて楽しい世界です。皆様も、ぜひ一度、能の世界にふれてみてください。 January 22 秘花 瀬戸内寂聞著 新潮社久々に瀬戸内さんの小説を読みました。その前に読んだ『謡曲 平家物語』では、白洲さんは世阿弥の作品のことを書きつつ、あるいは世阿弥そのものに迫って、なぜ平家物語を題材することが多かったかを解き明かしています。白洲さん、そして瀬戸内さんという、女性として、いい男を知り尽くしているお二人が、これほどまでに入れ込む世阿弥という人についての尽きぬ魅力を、この瀬戸内さんの小説で垣間見たように思います。 作者である瀬戸内さんが冒頭に語り、そして世阿弥の語りとなり、最後は世阿弥の晩年の地、佐渡で遣えた沙江の語りとなっています。そしてもしかしたら、沙江は瀬戸内さんの化身なのかもしれないと、まるで能舞台をみるような変化がまた味わい深いのです。60歳で出家している世阿弥と重ね合わさる瀬戸内さん自身の人生。作家として、物を書くということの終わりのない探求。全部仕上がるまでに3年以上かかったそうですが、魅力ある味わい深い作品です。 世阿弥と言う、この上なくいい男。男をも魅了してやまない男、そして女には限りなく優しい、知性と才能にあふれた、美しき日本の男、それはもう、イケメンなんてもんじゃない、絶世の美男子だった世阿弥にぜひお会いしてみたかったです。 いくつか体験した能の舞台を思い出しつつ、また謡いの美しいリズムの流れに乗りながら、 あっという間に読んでしまいましたが、とても爽やかで、至福感を味わえる小説です。 これを機に、能の世界にふれてみていただくといいのかもしれません。能は人々に至福感 をもたらすためにあるという、いかにも日本的な真髄を体験できる芸能なのですから。 「秘すれば花」この言葉に秘められた美しき日本人の魂をぜひとも取り戻したいですね。 January 16 謡曲平家物語 白洲正子著 講談社文芸文庫「能の物語」「お能・老木の花」に続く白洲正子さんの『謡曲平家物語』は、世阿弥という人が創り上げた、平家の人々への鎮魂歌としての謡曲の魅力を余すこと無しに伝えてくれます。 白洲さんの語る能の世界は、幽玄の世界、世阿弥の世界でもあるのですね。非常に面白かったのが、白州さんは、幽霊を創り上げたのは世阿弥だとおっしゃるんですね。 死霊、生霊、悪霊の類ではなく、夢幻能の幽霊を作品で創り上げたというのです。能の世界に実際に生きている本人を登場させるよりも、幽霊として登場させ、その幽霊が語ることで、生々しい描写はベールが覆われたように美しく表現され、そして最後にはその幽霊が成仏し、幸せになっていくことが能世阿弥の能物語の特長だということなんです。 世阿弥の独壇場ともいえるこの幽玄の世界、非常に美しく、はかなくそしてあわれです。また世阿弥の出身地である伊賀と平家の関連性を示し、世阿弥が世に残した多くの平家の人々への鎮魂歌を読み進めていくと、おのずと世阿弥その人と、能への理解が深まってきます。 今回の謡曲平家物語は上に上げた二冊の本とは違う側面から能の世界を理解できたような気がします。世阿弥その人への深い洞察と理解が素晴らしいです。 まだまだ能の世界にほんのちょっと踏み入れただけですが、この能の世界を少しずつ理解してくことで、日本人に受け継がれている深い魂を呼び覚まされる気がして、心豊かになるひと時です。白洲さんの本はいつもいつも懐かしき、日本人の魂に触れる場所へといざなってくれる貴重な本なのです。 どうぞ皆様もぜひお読みになってみてください。 January 09 ケータイ小説とフィルタリング対策 2今、未成年のケータイに強制的にフィルタリング導入を促進するための施策が行われようとしています。1月から新規の18歳未満のケータイ加入者にはデフォルトでアクセス制限が掛けられます。インターネットの有害情報が青少年を犯罪に巻き込む、そしてその事件がケータイを中心に起こっているということで考えられたことです。しかしこの一律のアクセス制限で、実はケータイ小説などを投稿できるホームページや日記やSNSなどのコミュニティサイトも有害サイトとみなされフィルタリングされてしまいます。このフィルタリングは、確かに子供たちを危険なものから守るという手っ取り早い施策ではありますが、事実上のインターネットへのアクセス制限でもあり、子供たちはやっと見つけた一筋の可能性さえも絶たれたと感じるのではないでしょうか。このままでは、数年後、もっと凶悪な犯罪が地方都市で起こるような気がしてなりません。 大人たちが子供たちの未来をちゃんと考え、誇りや希望を持って生きていけるような社会を創っているなら、インターネットのアクセス制限をかけてもいいのかもしれませんが、現在のところ国の施策は子供たちにとって良い社会、希望のある社会を創っているようには思えないのです。格差社会は広がる一方です。 今回のアクセス制限の施策は、もしかしたらこの情報化社会の先に生まれつつある新しいより良い世界という、子供たちが希望に感じる一筋の可能性が絶たれる気がして、asomeは残念でなりません。 このフィルタリング対策というある種強制的アクセス制限を行う前に、もっとインターネット教育、Webリテラシーの教育を普及させるような政策が取れなかったのだろうかと大いに疑問に思います。 今回の携帯フィルタリングについてのニュース記事を読んでいると、教育界も、携帯事業者も、総務省も、家庭も、サービス提供者もそれぞれがこの教育については及び腰で、互いに責任を押し付けているように感じます。どの立場の人にも、「本当に子供たちの身になって考えているのか」と投げかけたいです。自分たちの責任逃れだけなんじゃないかと。 大人が混乱して、責任逃れをして、強制的に子供たちを制限すると、必ずや反動が生まれます。そのことがどのような結果を産むか、どの立場の大人たちもよくよく考えなければなりません。 子供たちよ、どうか一筋の希望を失わず、賢く生きて行って欲しいと心から願います。ケータイ小説から少し話題がそれましたが、このテーマは今後の日本の将来に影響の大きいテーマであり、多くの大人たちが知恵を絞っていかなければならないことだと考えています。大人たちこそ賢く、そして本質を見抜き、未来の子供たちのためにしっかりと方向を示すよう動いていかなければならないのではないでしょうか。 January 07 ケータイ小説とフィルタリング対策 1最近になって、ケータイ小説について、多くの人たちがブログに書いています。だんだん骨太の分析がされるようになりとても読むのが楽しみになってきました。 たとえば、猪瀬さんの『ケータイ小説をなめてはいけない』 佐々木尚久さんの『ソーシャルメディアとしてのケータイ小説』 雑誌文学界では特集『ケータイ小説は文学を殺すか』 ケータイ小説が話題になり始めた初期の頃、悪貨は良貨を駆逐するとのたとえのように、ケータイ小説が悪貨と例えられました。ケータイ小説はお話にならないくらいレベルの低いものであるという言説から、少しずつちゃんと分析されるようになり、しっかりと語られるようになったなあという気がしています。11月にはいって、映画「恋空」のヒットは映画界にも衝撃が走りました。どうやらケータイ小説が底に秘めている力を無視できない状況になってきたのかもしれません。しかし世の大人たちにとっては、この『恋空現象』は全く理解が出来ない現象だったわけですね。このケータイ小説や「恋空」の映画は都心よりも地方での売り上げが良いということで、「ケータイ小説の文化を支えるのが地方の子供たちの閉塞感」であるという見方がされています。確かに地方は娯楽が少なく、やることもなく、未来にも希望が持てず、閉塞感が充満していると考えられます。最近では地方発の凶悪犯罪がニュースをにぎわしているというアメリカや日本の状況は、なるほどとうなずくものがあります。しかしasomeが思うに、確かに日本の地方都市の子供たちには未来への希望が持てない状況なのかもしれないのですが、ただそのことを紛らわすためにケータイ小説を読んだり書いたりしているのではないと思うのです。地方都市と都会ではやはり地域格差があります。その地域で生まれたということは、現在の都会中心の文化の場合、東京で生まれた子供たちよりずっとハンディがあります。子供たちにとって、最もそのハンディを感じさせないのが、このインターネットの世界なのではないでしょうか。 December 15 わたしたち消費 鈴木謙介著 電通消費者研究センター 幻冬舎新書カーニヴァル化する社会の巨大ビジネス この本は、今の時代、どのようにミリオンセラーが生まれるのかを分析し、調査しています。社会学者の鈴木さんが、ネットなどの仕組みと、今の若者たち、および人間一人一人が変ってきている、そのことを身近な例を挙げて、話してくれます。 消費者として、お客様をとらえる時代は終わったということなのかなと私自身は考えます。 インターネットやケータイの浸透により、様々なことが可能になったのですね。たとえば、消費者といわれた人たちが、商品を作り出すということなのです。企業がこれは今、人々が欲しい商品だという思い込みで作ると、見事にはずれるんですね。意図があると、みんな嫌なんです。何気なく創っていたものが、多くの共感を呼んでヒットするということがおこり、 それが、誰もが全員知っているというようなビックヒットではなく、ある年齢層だったり、ある、一部の層だったりするのですが、そういった局部的ヒット商品が生まれるようになったのですね。非常に面白いテーマの本なんですが、鈴木さんの社会学的なものの見方と、電通消費者研究センターのとらえているところが、やはりまだ、誤差があり、なんとなく、違和感があったのが、印象的でした。消費する人でもあり、生産者でもあるわたしたち一人一人が作り出すマーケットは、今後いったい、どのように成長していくのか、非常楽しみです。 |
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